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最高裁判所第二小法廷 平成3年(行ツ)148号 判決

上告人

谷内春枝

右訴訟代理人弁護士

右田堯雄

被上告人

近畿財務局長

長野厖士

右指定代理人

藤部富美男

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

一上告代理人右田堯雄の上告理由第一点について

たばこ事業法二二条は、たばこ専売法(昭和五九年法律第六八号により廃止)の下において指定を受けた製造たばこの小売人には零細経営者が多いことや身体障害者福祉法等の趣旨に従って身体障害者等についてはその指定に際して特別の配慮が加えられてきたことなどにかんがみ、たばこ専売制度の廃止に伴う激変を回避することによって、たばこ事業法附則一〇条一項に基づき製造たばこの小売販売業を行うことの許可を受けた者とみなされる右小売人の保護を図るため、当分の間に限り、製造たばこの小売販売業について許可制を採用することとしたものであり、右許可制の採用は、公共の福祉に適合する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置ということができる。そして、同法二三条三号、同法施行規則二〇条二号及びこれを受けた大蔵大臣依命通達(昭和六〇年三月二八日付け蔵専第五六号)による製造たばこの小売販売業に対する適正配置規制は、右目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまるものであって、これが著しく不合理であることが明白であるとは認め難い。したがって、製造たばこの小売販売業に対する右規制が、憲法二二条一項に違反するということはできない。以上は、最高裁昭和四五年(あ)第二三号同四七年一一月二二日大法廷判決・刑集二六巻九号五八六頁の趣旨に徴して明らかである。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違憲はない。論旨は採用することができない。

二同第二点について

原審の適法に確定した事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官大西勝也 裁判官藤島昭 裁判官中島敏次郎 裁判官木崎良平)

上告代理人右田堯雄の上告理由〈省略〉

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